きのこ展2016 「変身!変形菌!~もうひとつのきのこの世界~」ブログ

2016/9/23(金)

ミャンマーできのこ調査

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

きのこ展までもう時間がありませんが、そんな中決行してきたミャンマーでのきのこ調査についてご報告します。

行ったのは8月後半から9月前半の10日間ほど。いつもならせめて2週間はじっくりと時間をかけて調査したいと思っているので、かなり慌ただしい日程でした。しかも、現地は雨季。これはきのこ調査に行くのであれば宿命とも言えるのですが、でも雨の中を歩くのが大好きな菌学者には、僕はいまだに一人も出会ったことがありません。雨で増水した川や、ぬかるんだ道を歩きながらの調査となりました。

ラッキーだったのは、調査地が標高1000メートルほどの高地だったので、日本よりよっぽど快適だったこと。今年は猛暑の日本を抜け出してブータンに調査に行き、帰国したら夏バテして、次に訪問したミャンマーで再び体調が回復、という変わった体験をしました。

そして、今回の調査では、同じく日本から昆虫(クワガタ)の専門家が来て、いっしょに調査をしました。僕自身もクワガタ・カブトムシ類は大好きなので、調査方法にも興味があります。バナナとビールを使って甲虫をおびき寄せるためのエサづくりなど、いつものきのこ調査で体験することはまずありません。

もちろんきのこはたくさん生えていました。大きさ1センチにも満たないラッシタケの仲間(Favolaschia calocera)は、元々マダガスカルから記録されたきのこで、オーストラリアやニュージーランドでは移入種として扱われています。東南アジアのいくつかの国からも報告はあるようですが、はたしてこれらがマダガスカルからの移入なのか、実は東南アジア原産でマダガスカルに移入されたのか、まだ現時点ではわかっていません。

まるで鳥の巣をミニチュアにしてみたいな外見が特徴のチャダイゴケの仲間もたくさん採集することができました。この仲間も熱帯を中心に新種記載が相次いでいるので、きのこ調査が不完全なミャンマー産個体が新種である可能性は十分にあるでしょう。

そして密かに楽しみにしていたのが、現地にきのこマーケットがあるのかを確認すること。僕が良く行く中国の雲南省ほどの巨大なマーケットでないにしても、道端にきのこ売りがいるような風景がないか、心待ちにしていました。そして見つけたのが、チチタケを売るきのこ売り。時期的なものなのか、チチタケ以外のきのこはほとんど見かけず、ほんの一部でオオシロアリタケの仲間(白アリの巣から生えるきのこ)が売られていたのみでした。

この調査は国立科学博物館のプロジェクトとして進められています。また来年も再来年もミャンマーに行く予定なので、さらの多くのきのこやきのこ売りを見てみたいと思っています。