きのこ・カビ・酒~日本の事前と人が育んだ食文化

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2020/10/28(水)

『きのこ画コンテスト入選作品決定!』

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

このブログも長らく更新していませんでしたが...いよいよ企画展が始まりました!新型コロナウイルスの感染拡大防止に細心の注意を払いながらの運営ですが、幸いにも順調な滑り出しとなりました。

企画展は11/3(火・祝)まで毎日開催しています(※最終日は事前登録制です)。天気も良さそうなので、ぜひ期間中に筑波実験植物園までお越しください。

本日はみなさまにお知らせです。毎年期間中の最後の日曜日に開催していた、きのこ画コンテスト(きのコン)の表彰式ですが、今年は残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、中止となりました。受賞者および関係者のみなさんと顔を合わせられないのは非常に残念ですが、ご理解のほどよろしくお願いします。

そこで今回のブログでは、受賞者のお名前ときのこ博士による作品の講評をさせていただきます。一部の作品については、今後のブログ等で画像もお見せすることができるかもしれません。

第10回きのこ画コンテスト受賞作品

筑波実験植物園長賞
作・イトウタカコ@tacacomono さん
きのこ博士のコメント|もうコロナはたくさん、早く正常に戻ってくれ、という植物園・きのこ展スタッフ一同の願いを見事にきのこで表現してくれました。『茸ビエ』の本体はタマゴタケ、目はツチグリ、そして髪の毛はハナビラタケでしょうか。これでめでたく「疫病退散」といきましょう!
金賞1
作・小西菜月 さん
きのこ博士のコメント|30種を超える多様なきのこを、見事に描き分けた力作。その中でも作者のお気に入りは一見すると目立たないソライロタケとのこと。自然界では珍しい、真っ青な色をしたきのこですが、その色はあせやすく、また傷つくと黄色に変色します。珍しいきのこですが茨城県でも発見例はあり、もしかしたら植物園にも生えるかもしれません。
金賞2
作・すずきさき さん
きのこ博士のコメント|ポルチーニはイタリアを中心にヨーロッパで人気の野生高級きのこ。でも同じ仲間はつくば市にもたくさん生えます。時には大通り沿いに見事なポルチーニが群生することも!作者も想像ではなく、実際に生えたポルチーニを見て、作品を仕上げたのではないでしょうか。
金賞3
作・渡邉俊祐 くん
きのこ博士のコメント|ウスキキヌガサタケはスッポンタケの仲間で、その大きな特徴はなんといっても黄色い網目状のマント。その難しい特徴を、迫力満点に見事に表現した作品です。網目を描くのに何日もかかった、というのも納得の力作です。キヌガサタケ類はきのこの女王と呼ばれることもあり、ぜひきのこ展でも実物を展示したいきのこのひとつです。
キッズ賞
作・小山千華 さん
きのこ博士のコメント|様々なきのこの特徴を見事に描き分けています。ぜんぶ美味しそう?いやいや、作者の感想を良く読みましょう。なにしろ「猛毒きのこを集めて描いた」とのこと!カエンタケを除くと地味で美味しそうなきのこばかりですが、絶対に食べてはいけません。
きのこ博士賞
作・どしだぶんりょう くん
きのこ博士のコメント|コガネヤマドリはイグチ(ポルチーニ)の仲間。オレンジ色が鮮やかで迫力のあるきのこです。山で見つけたときの感動が、鮮やかな色使いで見事に表現されています。何もないところから突然生えてくる野生のきのこは神秘的。今後のこの感動を忘れずに持ち続けてください。
写実賞
作・大嶋希海 さん
きのこ博士のコメント|博士が特に感動したのは、ツチグリの細かい網目模様、マンネンタケのカサ表面のツヤっとした感じ、そして一番大きく描かれているイグチのカサのフェルト様の質感です。それ以外のきのこも見事に特徴が表現されています。ぜひきのこ図鑑に使いたい画風です。
ユーモア賞
作・たかのくらみずき さん
シイタケ(茶)、サンコタケ(黄)、タマゴタケ(赤)は友達同士、それとも3兄弟でしょうか。性格の異なる3種のきのこが、生き生きと表現されています。特に、臭い匂いを放ってハエをおびき寄せるサンコタケが、おしとやかに描かれているのが面白い!
ファンタジー賞
作・おおたまゆみ さん
火星に建てた(生えた?)きのこの家。昔から他の惑星に移住する計画については、いろいろなSF小説などで語られてきました。それが現実になるときは、きのこのような菌類が生態系の構築に関わることは間違いないことでしょう。あなたはきのこの家、住んでみたいですか?
生物多様性賞
作・かつむらしょうこ さん
庭で見つけたツチグリを迫力満点に描いた作品。そして、きのこのまわりには必ず他の生き物がたくさんいます。ダンゴムシはきのこの中に住んでいることもあるし、アリやテントウムシがとまることもあります。そしてそのような小さな虫を食べにカエルも寄ってきます。庭での何気ない観察から、多様な生き物同士のつながりを表現してくれました。
殿堂入り
作・萩原久二子 さん
作者はこれまで園長賞を含め、きのコンの様々な賞を受賞してきました。それに敬意を表して、昨年から『殿堂入り』という扱いをさせていただいています。そして今年もきのこ愛にあふれた力作を仕上げていただきました。これからも末永く、きのコンとお付き合いください!

作品の講評は以上です。受賞されたみなさま、おめでとうございます。そして受賞された方もそうでない方も、来年のきのこ展、そしてきのコンをよろしくお願いします。

それでは閉幕まであと少しの「きのこ・カビ・酒」展をひきつづきお楽しみください。

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