ヤマボウシ(ヤマグルマ, ヤマグワ)

植物図鑑

図鑑の見方

植物名

ヤマボウシ(ヤマグルマ, ヤマグワ) 

学 名

Benthamidia japonica (Siebold et Zucc.) H.Hara var. japonica 

科 名

ミズキ Cornaceae 

園内の花

解 説

高さ5-10mの落葉高木。樹皮は赤褐色で、横枝は水平に広がり、その先に1対の葉を対生させる。葉は楕円形-卵形で、縁がやや波打つ。秋に紅葉する。白い花弁のような総苞の中心に、小さな黄緑色の花が球状にまとまって咲く。秋に果実は赤く熟す。北米原産のハナミズキと近縁の植物。 

研究者ノート

初夏に咲くヤマボウシの花は白色ですが、実は花びらのように見えるものは苞といわれるものです。苞は“がく”に似ていますが、真ん中にあるのは花ではなくて、花の集まり、すなわち、“花序”です。この苞は見た目には白色ですが、中には多量のフラボノイドという物質が入っています。これは紫外域(※)に色を持っており、人間に見えませんが、昆虫には見え、花に集まってきます。※紫外域・・・人の目に見える領域は光の波長約400~700nmで「可視域」といいます。それより波長が短く、人間には見えない400nm以下の領域を「紫外域」といいます。(岩科司)花序を囲む大きな4片を総苞といい、本来は小花群の保護器官と考えられます。中国名は四照花、本種の特徴をよく表しています。分布域を広く採集して歩いた結果、箱根ほど個体密度が高く、総苞片に見る変異の著しい場所は他にないと思っています。写真でお見せできないのが残念ですが、大きさ、色、形、展開の様子など総苞片が個体ごとに全部異なります。圧巻は済州島で見つけた黄色い個体でした。私はヤマボウシを総苞片の変異の大きさから個体識別の可能な、稀有な植物だと思っています。植物園の個体群では変異は少ないでしょう。なぜなら園内の多くは1個体から採種し育てた苗を植えたものですから。(八田洋章) 

自然分布

本州・四国・九州(屋久島まで)・琉球(石垣島・西表島)、朝鮮・中国・台湾 

絶滅危惧ランク

 

日本固有

筑波山分布

利 用

観賞用、庭園樹として利用。また、果実は食用できる。 

名前の由来

花の集合体を坊主頭に、総包片を白頭巾にみたてて、山法師(ヤマボウシ)の名がつけられた。 

園内区画

低木林(高地性)低木林(低地性)岩礫地(山地性)暖温帯落葉広葉樹林2冷温帯落葉広葉樹林温帯資源植物 東中央広場温室周辺 

「おすすめ」
登場回数

82

スタッフによる今週のおすすめで紹介された回数を表します。

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蕾
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撮影場所
中央広場
撮影日
2007.6.9
撮影者
佐藤絹枝