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標本の作り方

(採集編)


 
 

北山・渡辺 (2003)より

A0.用意するもの
 

1.手袋
 軍手またはダイビング用のグローブがよい。

2.ヘラ
 ステンレス製の「皮すき」などがよい。刃が鋭い場合はハンマーで叩いて潰します。 ホームセンターや金物屋で手に入ります。 岩と一体化した殻状の藻類や無節石灰藻などを採集するには、タガネとハンマーを準備する必要があります。

3.帽子
 日射病を防ぐほか、転倒した際に頭部を保護します。

4.胴長(ウェーダー)
 夏季の潮間帯での磯採集や浜に打ち上がった海藻を拾うだけなら運動靴や普通の長靴で十分です。ダイビング用のブーツは底が厚いので、岩礁や珊瑚礁での採集に適しています。冬季・春季、とくに北日本の海岸で採集を行う場合には丈の長い長靴が不可欠になります。釣り用に販売されているウェーダーは保温効果が高く採集を行うにも快適です。ただし、ウェーダーを着用したまま深みに転落すると内側に入り込んだ海水が重りになり危険なので用心して歩くことが必要です。

5.鉛筆と油性マジック
 採集日や採集地点などの情報は、採取した直後にビニール袋やポリ瓶に書き込まなければなりません(あるいは耐水紙に記入)。袋や瓶の表面が海水に濡れていると書きにくいので後述のビニールテープに書き込んでから貼ります。水性の筆記用具では消えてしまいます。

6.ビニールテープ
 海水が漏れないように容器のフタに巻くほか、ラベル代わりにも使います。ガムテープでもよい。
 
7.輪ゴム
 ビニール袋の口をしばります。業務用の幅の広い輪ゴムが切れにくく使いやすい。

8.タオル
 手やテープなどが海水で濡れていると字が書きにくいので、タオルなどで拭きます。保冷剤や氷を入れた袋を包むのにも使えます。

9.タマネギ袋(洗濯ネット)
 大型の海藻用の採集袋。海水がたまらない。

10.コンビニ袋
 採集中に海藻を入れる袋はコンビニエンスストアでもらえる袋で十分です。

11.チャック付きポリ袋
 数~数十mmの小さな海藻は他の海藻と一緒にすると紛れて見つからなくなることがあるので、小さな袋に分けていれます。チャックがついていれば、運搬中も安心です。

12.ポリ袋(大)
 採集中に持ち歩く袋(コンビニ袋など)とは別に、いろいろなサイズの透明なサイズのポリ袋があると持ち帰りやすい。

13.ポリ瓶
 枝が繊細であったり粘液質であったり壊れやすそうな海藻は、海水をみたしたポリ瓶に入れるのがよいでしょう。持ち帰って顕微鏡などで観察したい海藻も、少量であればポリ瓶に入れることができます。海藻に対して海水の量が十分に多ければ、しばらくは生きた状態で運ぶことが可能です。
 
14.保冷剤
 「アイスノン」など。出発直前まで冷凍庫で冷やしておいたものをアイスボックスに入れておきます。新聞紙やタオルをまいておくと冷却能力が長持ちします。現地で氷を買うのもよいですし、冷えた飲み物を入れておく人もいます。

15.アイスボックス
 自分にあったサイズのアイスボックスを用意します。

 
【引用文献】

北山太樹・渡辺真之2003. 藻類. In:国立科学博物館(編)標本学 自然史標本の収集と管理, 東海大学出版会, 泰野. 250pp