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2015/9/7(月)

光をめぐる闘い

植物研究部の樋口です。

「もっと光を」はゲーテの最後の言葉として知られていますが、光合成生物が繰り広げる生存競走を象徴的に表す言葉でもあります。陸上に進出した植物の歴史は言い換えれば光をめぐる闘いの歴史と言えるでしょう。

光合成生物の中でも、コケ植物、地衣類、藻類などの小さな生き物は根を持たず、土壌は生育に必要ではありません。光も短時間、木洩れ日程度が当たれば十分なこともあり、森林の中では岩、木の幹、倒木の上などに生育しています。

では、その小さな生き物でも光をめぐる闘いはあるのでしょうか。

誰も気に留めなかったそんな疑問に、今回、私たちはブナの幹を生活の場としているこの小さな生き物を対象に取り組みました。その結果、光をめぐる生存競走だけではなく、お互いがいることで生存に有利になる場合もあるらしいという、予想もしなかったことがわかってきました。